bookcafe kuju

昨年の夏、北山川の上流にある瀞峡(どろきょう)へ向かったときに、川沿いにある廃校らしきものに目を奪われ、車をとめて外観をまじまじと見た。元は校庭であったはずの駐車場には盆踊りの提灯がぶら下がっていた。日が暮れたら集落の人たちが集まるのだろうかとあたりを見回してみたり、なんとなく気になっていた素敵な校舎。それが今回、立ち寄ってみたら、とてもおしゃれで、あたたかみのあるカフェになっていた。
看板にはbookcafe kuju の文字。これから本の販売も手がけていくそうだ。

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偶然なのだが、その日、車の後部座席には九重小学校の生徒さんたちが昭和54年につくった民話の本があった。数日前に図書館で借りて、車から降ろしもせずに読む暇もないまま熊野に持って来てしまって…。まさか、ここが九重だなんて知らなかったので、ちょっとびっくり。
民話の本のタイトルは『百夜月』(ももよづき)。かつて、この校舎で学んだ小学生たちが、地域の民話を版画で表現したもので、尼さんに恋をした若者の切ない恋の物語。九重の地名の由来ともなったという。(『百夜月』の本は、bookcafe kujuにもありましたよ)

小学校は10年近く前に廃校になったのだが、熱心な図工科教育で注目された学校だったとか。その学び舎が取り壊しを免れて、本を読めるカフェに生まれ変わりつつあるなんてうれしい。
運営にあたるのは、「ナリワイ研修生」の若い人たち。地域おこし協力隊として都市部から移住して来られたそうだ。オープンしたのは昨年の11月で、今のところは土日のみの営業。「むぎとし」という名のパン屋さんも併設されていた。その日はお休みだったのだが、次回はきっと買おう。

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ランチもコーヒーもとてもおいしかったし、ていねいな仕事をされているなぁと思った。特筆すべきはティラミスなんだけどね。私がこれまで食べたティラミスの中で一番好きな味だった。
「ぼくティラミスが大好きなんで、ものすっごく研究しました」とスタッフの丸茂正裕さん。ちなみに彼はワインがお好きで、イタリアンが楽しめる古民家レストランを熊野で開く準備中とのこと。開店したらぜひぜひ行きたいけど、ワインを呑んだら車で帰れないので民宿つきでお願いしますね。

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スタッフの矢部明日美さんと、丸茂正裕さん

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投稿日:2014年2月8日
カテゴリー:みちとおと取材記
文:北浦雅子